魂を売った男

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壊れた柵や扉を悠然と通り過ぎると薄暗いエントランスから声が聞こえてきた。 『正面扉前方に侵入者あり。正面扉前方に侵入者あり。 全総員に告ぐ。直ちに侵入者を排除せよ。』 天井に設置された拡声器からスピーカーを伝い、声が響き渡る。 ―裏口― エントランスから漏れる警報は裏口にいるユウリにも聞こえていた。 ――ホントに分かりやすい合図ですね。 それじゃ、私も作戦を決行しましょう。 ユウリは先ずは腰に差してある短刀を鞘から取り出す。 ユウリの目の前にはこちらも正面扉と同じ木造の扉にがあり、左下の端の部分にナイフをあて小さな穴を開けた。 ナイフをしまい両方の掌を地面に着けると、地面に緑色の丸の線の中に、同じく緑色の六茫星が入った魔方陣が浮かび上がる。 アイズが青龍を出した時とそっくりな魔方陣だ。 「召喚魔方・口寄せ」 ユウリが言葉を発すると地に光る陣から大量の鼠が鳴き声と共に姿を現す。 「みんないい?この穴から入って武器みたいなのがあったら戻ってきて知らせて」 鼠たちはユウリの言葉を理解すると、先程ユウリの開けた穴に行列を作り入っていった。
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