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突然の発砲にビクッと肩を上げながら音源を見てみると、ピアスを開けた男の銃口は煙を吹いていた。
その先には目を見開きながら呆然と突っ立っているフリアンとおばちゃん。
――……まさか。
二人を見つめた後、デセスはもう一度ピアスの男を見ると男は口の端を小さく吊し上げていた。
――ブンタの野郎……打ちやがった。
急いで二人の元へ駆け寄ると、夥しい鮮血が舞い血溜まりを作っている。
心臓の脈動が更に早くなり鳥肌が総毛立つ。
出所はおっちゃんと同じ心の臓。
「おばちゃん!!フリアン!!」
必死に二人の名を連呼するがこちらも返答は無い。
即死。
お世話になった最愛の三人は最後の言葉も無しにこの世を去ったのだ。
「デセアド様。これで貴方の拠り所は無くなりました。直ちに王国へお戻り下さい。アレイズ王がお待ちです」
「だまれ」
震える唇から必死に声を絞り出す。
気付けば涙が止めどなく流れ、雫となって溢れ落ちていた。
「父様が俺の為に何かしてくれたか?」
過るのは苦痛と言う名の地獄。
デセスは自由など皆無なその重圧から逃れるためにここへ来たのだ。
「何を仰っているのですか。アレイズ王は貴方に様々な事をお教えになったではありませんか」
デセスの心境などお構い無しにホーンは続けた。
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