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「あいつは俺の事などまるで考えていない。あったのは俺を次期国王に育てる為の教育だけだった。だから俺は国を捨てた。そしてここは俺の理想郷そのものだった」
少年はここに来てからの日々を思い出していた。
全てを包み込むような暖かさを……。
「厳しい教育に貴方は少し疲れていただけです。だからこそここが居心地が良かっただけでしょう」
「黙れと言ってんだろ!!」
溢れ出る涙を拭きながらデセスはドスの効いた声で続ける。
「お前ら骨も残らねぇと思え!!」
これから過去というピースを、そして未来というピースを埋めるはずだった。
しかし、もう埋まる事はない。
一人では何も出来ない人生というパズルは未完のまま終わる事となったのだ。
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