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―正面扉付近―
クルスは正面扉の先のだだっぴろいエントランスに堂々と仁王立ちしていた。
前方には2つの螺旋階段と、その中間に大きな扉が1つ。
螺旋階段の上には廊下があり扉は1つづつ、更に右、左方向にも扉が2つづつある。
クルスがエントランスの中央で突っ立っていると、ほぼ同時に二階の2つの扉、左右の扉から敵が波の様に押しよせてきた。
「おいおい、深夜に起こされて何事かと思ったら、ただのクソガキじゃねぇかよ」
「迷子にでもなったか?ぼくちゃ~ん」
「壊された扉どぉしてくれんだこらぁ」
他にも睡眠を妨げられた男達は各々と威圧的な言葉を口にする。
――うるせぇなぁ。
見るからに雑魚がざっと50人くらいか。楽勝だな。
その言葉に別に恐れているわけでもないクルスは、全てシカトし逆に話しかけた。
「ここに天授十器があると聞いたんだが何処にあるか知ってるか?」
「…………」
数秒の静寂。
その後、深夜にも関わらずエントランスは爆笑の渦に巻き込まれた。
思いもよらぬ展開に更にストレスを感じたクルスは、舌打ちをしながらその薄い唇を開く。
「なんだ?」
「ははははは。お前も探しに来た口かぁ。悪いけど探しもんは見つかんないぜ」
「……なんでだ?」
低音の声で疑問文を続けるクルス。
その言葉を待っていたかのように、50人の男達は一斉にクルスに銃口を向けた。
「お前はここで俺たちに殺されるからだ」
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