307人が本棚に入れています
本棚に追加
英気を養うには十分な日光をクルス達は浴びていた。
そんな快晴な大空とは裏腹に、背の高い塀に囲まれたアルヴィネスの内部には惨劇が1つ。
威風堂々と聳え建っていたオルノス城や他の建造物は瓦礫の山に変貌している。
歪に捩曲がった柵からそれらを見つめる第Ⅰ隊、第Ⅶ隊の4人は柵から中に入り、血生臭い地を闊歩していった。
「……ひどい」
声を漏らした第Ⅰ隊副隊長アレゴレの瞳には様々なものが映っている。
白目を向いた亡骸、焼け焦がれ倒壊した家、抉れた大地、それにより胸から込み上げる物をアレゴレは必死に堪えていた。
「そんな事はどうでもいい。前を見ろアレゴレ」
前からの落ち着いた声で前方を見ると、第Ⅰ隊隊長ベレンの先には此方へ向かって来ている3つの人影。
「任務開始だ」
ベレンの声と同時に影達がぶつかり合い、金属音や獣の咆哮が瓦礫の山に響き渡る。
悲痛な叫び声が聞こえるのにそう時間はかからなかった。
「お前らが……黒の派閥……か。浅はか……だったぜ……」
地に伏せている浮浪者の様な男は、血と共に言葉を吐くと、瞳を閉じ気絶した。
そんな男を4人は何事も無かったかのように気絶した3人の元を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!