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その後も同じ様な展開が続いていた。
絶え間無く湧く者達を4人は次々に気絶、又は逃亡させていく。
「そんなに金が欲しいのかよ」
不安定な瓦礫の山から足場を見つけながら言うクルスにアレゴレは訂正した。
「勿論それもあると思いますが、理由は恐らく天授十器とアルヴィネス王国の魔法でしょう。天授十器の1つがアルヴィネス王国にあるのは有名ですし、魔法に関しては能力者なら誰でも習得可能な反則的な力ですからね。」
「……」
長々と説明するアレゴレに嫌気がさしたのかクルスは返答しなかった。
そんなクルスに威圧的にベレンは言い放つ。
「資料に書いてあった筈だ。ちゃんと任務前に目を通しておけ。それと噂は聞いている。不必要に人を殺すな。世の中には悪の存在も必要だ」
高圧的な物言いに小さく舌打ちをするクルスは、不快感を露にしていた。
現場の雰囲気は下降する一方である。
そのまま暫く歩いていると、やがて一行は白い瓦礫の山に到着する。
「ここがオルノス城があった場所……」
小さく独り言を漏らすユウリの先には、王国の象徴が無惨な姿になっていた。
「誰が一体こんなことを……」
感傷に浸るアレゴレは瞳を閉じ、両手を合わせ黙祷する。
それに続き黙祷したユウリだったが、感情を持たない様な2人はただ立ち尽くしている時だった。
女性の悲鳴が響き渡った。
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