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突然の悲鳴に4人は直ぐ様辺りを見渡す。
幸いにも周囲に遮断物は無く、集中して見るとオルノス城の遥か後方に複数の人影が見えた。
「急ぐぞ」
新たな任務の予感を感じたベレンの低い声に全速力で走る4人は向かいから吹く風を目一杯浴び、後方へ靡いた事によりクルスの額の古傷が垣間見える。
3週間前、アイズとの一戦で受けた傷だ。
「全部で七人か」
次第に大きくなった人影の数を呟いたベレンだったが、クルスは視線をちらつかせていた。
――……これは。
視線の先には焼け焦がれた建築物、無数に存在する細く抉れたコンクリート、細く風穴の開いた死体。
他にも様々な戦場痕が見受けられ、それらはクルスに確証を与えた。
――間違いない。アイズだ。アイズがここを滅ぼしたんだ。
何企んでやがるんだ?
だとするとここから何かアイツに繋がるヒントがあるかもしれない。
内心めんどくさりながらも実力向上の為、嫌々参加した今回の任務立ったが思わぬ収穫を得られそうになったクルスは意識を前方に集中させた。
クルスの藍色の瞳が男6人と、少女の姿を捉えると状況が把握出来る距離にまでなっていた。
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