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――クルスside
「オホホホホ。良い男ね貴方」
たっぷりと口紅を塗った唇から気味の悪い声が聞こえてくると、クルスは眉間に皺を寄せていた。
両腕は悪魔の爪と化していたが、両手首を敵に捕まれていて次の攻撃に移れないでいる。
「取りあえず手を離しやがれ。オカマ野郎」
言いながら鳩尾(みぞおち)をブーツで蹴り飛すクルスは、そのまま片方の長い爪を飛ばした。
地に転がるオカマ野郎は襲ってくる爪を見切り、回避しながら後退すると声を裏返した感じで喋る。
「感じたわぁ~貴方の蹴・り。良い男の蹴りは格別ねぇ~」
うっとりとした表情で語るオカマ野郎にクルスは総毛立つ。
「気持ち悪ぃんだよ。ドM野郎が!!そんなに虐められたいならそうしてやるよ」
第一形態・砲の形になった片腕は黒いエネルギー弾を散弾銃の様に放つ。
此方も回避しながら距離を取るオカマ野郎だったが、広範囲に拡散するエネルギー弾を何発か食らった。
「んあぁ!!気持ち~~」
痛みを快楽と感じるオカマの白い服は点々と穴が開き、口調とは裏腹に筋肉質な体が露出度のかなり低い服から窺える。
「もう!!私の自慢の服が破けちゃったじゃないの!!」
頬を膨らませているとクルスが悪魔の爪の状態で猛烈な勢いで突進してきていた。
「私の名前はナタレ。貴方はなんて名前?」
突進に合わせ、構えるナタレにクルスは冷たく言い放つ。
「お前になんて名乗りたくねぇよ」
全力で拒絶するように言ったクルスは交差する両手の爪を降り払う。
ユウリに続きクルスも最初の位置から遠く離れていた。
気が付けばアレゴレも五茫星の一人と移動しながら戦っていた。
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