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――ベレンside
天三矛がスーツを着た男の剣とぶつかり合い高い金属音を奏でる。
2M近くある天三矛を剣を横にして防ぐ男の腕は震えていた。
「たっく。羨ましいぜ。天授十器ってのはよ」
上から振り下ろされた天三矛の重みに歯ぎしりしながら呟く男の声は低音で色っぽい。
彼の後ろには最初に後方へ移動した男が立ち尽くしている。
「あの少女を渡すわけにはいかない。アイゼン」
ベレンは淡々と呟くと更に力を込めるが、男はいなす様に受け流した。
バランスを崩したベレンの脇腹に、一撃を放り込もうとするアイゼンの剣は肉に届く直前て停止した。
「風の鎧か。厄介だな」
小さな口で舌打ちするアイゼンに今度は風を纏った天三矛が横一線に襲いかかる。
「あらよっと」
ブリッジ状態になりながら攻撃をかわすアイゼンはバック転し、体勢を立て直すと猛烈な風が自由をった。
本能的に頭の前で腕を交差させるアイゼンのスーツに無数の傷が生まれる。
「その様子だと気付いてるみたいだな。あの少女が何者なのかを……」
風の止んだ時に語りかけたアイゼンは残りの男に視線を一瞬移す。
男は何かを悟ると頷き周囲を見渡した。
「大丈夫です。アイゼンさん!!」
その言葉を聞いたアイゼンは素早くベレンに詰め寄り再び金属音が鳴り響く。
天三矛で押し返そうとするベレンは何かしらの企みを感じとり、周囲を見渡すと皆が皆敵と組み合っていた。
「エルモント!!今だぁ!!」
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