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「了解です」
エルモントと呼ばれた薄茶色の短髪の男は胸の前で掌を合わせると、左手をベレンとアイゼンの元へ、右手をユウリとアレッズの元へ向けた。
両掌から小さなシャボン玉の様な物が1つづつ現れ、二組の元へ向かって行く。
「無空結界(むくうけっかい)」
放たれた玉はアイゼン、アレッズに触れた途端に拡散すると、不透明な分厚い結界へと変容した。
続けざまに残りの2組に無空結界を飛ばすエルモント。
「もういっちょ!!」
新たに放たれた無空結界は、戦闘に夢中の2組にも同様の効果を発揮し不透明の結界へと変容する。
「ふぅ。これで良し!!」
それを確認したエルモントは一息付くと少女と男に歩き始めた。
髪と同色の瞳が少女を捉えると少女に悪寒が走る。
「何で!?何で私を狙うんですか!?」
恐怖心から体を小刻みに震わせる少女の声は上擦っている。
既にボロボロになっている、髪を後頭部の辺りで結んだ男は立つことすらままならず、ただ睨み付くすのみ。
「そんな目で見ないで下さいよ。貴方に用は無いんですから」
エルモントは少女と同じ薄茶色の瞳で男を見下すと、次は少女に語りかけた。
「そう。僕達が用があるのは君だけですよ。
エバー・アルヴィネス王女」
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