魂を売った男

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――? あんな遠くでなんのつもりだ? ……! まさかかまいたちか!? ベルモンテの行動の意味を理解し、瞬時に右方向へ避けると左側を風が吹き抜けていく。 空を切った風は壁を抉(えぐ)る音を残し無に帰った。 「……随分と見た目にあった能力だな」 「そうだろぉ。俺はこの能力で何人も殺してきた。 これで俺は無敵だ。 俺に敵う奴はいない。 アハハハハハハハハハハ」 ――……好戦的な自己陶酔型。典型的な能力者だな。 となるとこいつもしかして……。 まぁ、聞いてみれば分かるか。 「天授十器がここにあるって噂を流したのはあんたか?」 クルスの言葉を聞いた途端、下卑た笑みを溢すベルモンテの歯には2本の金歯が鈍く輝く。 「あぁそうだ。んなもんが実在するかなんて知らねぇが、お前みてぇなバカがそれを求めてノコノコと現れんだよ。 お陰で部下は良いストレス発散法が出来て喜んでたぜ」 ――やっぱりか。ったく無駄骨じゃねぇかよ。 ……まぁいいか、腹いせにこいつに自分が井の中の蛙だって事教えてやるか。 肩透かしをくらったクルスは、苛立ちを目に籠め冷たく言い放つ。 「実在するよ。うちの派閥が2つ所持してる」 普段から仏頂面なのだが、怒りで少し表情が変わったような気がする。 「ん?派閥?てめえ何者だ?」 「黒の派閥。名前くらい聞いたことあんだろ?」
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