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「ぐあ゛あ゛ぁあぁぁぁあぁぁ」
薄暗く無駄に広い部屋に響き渡る絶叫。
苦痛で顔を歪めるベルモンテの体には幾つもの黒い爪が突き刺さっていた。
「爪を……飛ばしやが……ったのか」
「……」
投げ掛けに答えないクルスは地割れで不安定になったタイルをゆっくり歩き始める。
「無敵……か」
『カツンッカツンッカツン』
クルスの足音だけが静かな地下室に響き渡る。
「あんたとんでもない井の中の蛙だな」
『カツンッカツン』
「折角俺の力を試せると思ったのに拍子抜けだよ」
『カツンッカツン』
『カツンッカツンッ』
『カツンッ』
歩を止め悠然と立ち尽くすクルスは、左手の人差し指と中指の爪で恐怖に戦(おのの)くベルモンテの首を挟む。
そして静かに薄い唇を開いた。
「お前アイズって奴の事知ってるか?」
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