第Ⅲ隊

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水平線上に太陽が顔を出し、光が闇を侵食し始めている頃、二人は飛行機の中にいた。 黒の派閥が所有する遠距離用移動物体、通称・飛行機。 ベルモンテ達との戦いの最中、クルスがユウリに呼ぶよう頼んでいたものだ。 それは羽のある白い十字型のそれとは違い、黒いドームの様な形をしている。 現在飛行機は二人を次の任務がある場所、西の大陸の最北端の近くへ送っている。 飛行機の中には操縦室、リビングルーム、10名分の個別寝室、男女別々のシャワールーム等がありかなり充実している。 「次の任務は第Ⅲ隊との合同任務か」 「ええ。何でも今回のターゲットは私たちのもう1つの任務【危険人物の抹殺】の対象にこそなってはいませんが、結構有名な双子兄弟が率いる一団だそうです」 二人は短い仮眠をとった後、リビングルームにあるソファーで次の任務について話し合っていた。 二人の両手には今回のターゲットに関するホッチキスで止められた数ページの資料。 「で、そいつらが天授十器を手にした可能性があるということか」 「その線が濃厚だと思います。事実、この資料によるとこの一団はここ数ヶ月の間に明らかに格上の者達を次々と倒しているようですし。 短期間の間でこれほどのレベルアップができるのは、能力者を複数仲間に加えるか、天授十器を手に入れるかしか考えられません」 一気に自分なりの考えを説明したユウリだったが、返答は虚しいものだった。 「まぁ、行けば分かる。俺はまた寝てくるから目的地に近づいたら起こしてくれ」 クルスはどうでもいいという感じに眠そうに吐き捨てると、自分の個室へと戻っていった。 「……分かりました」
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