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日が完全に昇った午前7時。
ここは西の大陸の最北端の古城。
茶色いレンガが敷き詰められた古城はビルにして約30階にも匹敵する高さである。
古城の窓からはただ漠然と広がっている荒野を一望できる。
―最上階―
こんな朝早くに大きな笑い声が部屋に響き渡る。
「ガッハハハハハ。いやぁ、全く良いもん手に入れたぜ。何回見ても神々しい。
天授十器の1つ『六星銃』」
男は右手の掌の中にある、金色に輝く銃を天に掲げ、大声で笑っている。
従来の銃とは少し違い、2回り程大きく、多少ゴツイ六星銃からは見るものを恍惚(こうこつ)とさせるような不思議なオーラが感じられる。
「良いなぁヴィトリアは。俺も天授十器欲しいなぁ」
ヴィトリアと呼ばれた男はゆうに2mを越えている。
逆立っている短髪に巨大な体格に濃い体毛、ベージュ色を基調としたどこか原始的な格好は、大男という言葉がピッタリの男だ。
「わりぃな、サントス。俺が先に見つけちまったからな。しっかし女探しに襲った街の武器屋でこいつ見つけた時はたまげたぜ。
こいつの事なんも知らねぇで普通にショーケースに飾って売ってんだもんな。俺に奪ってくれって言ってる様なもんだぜ。ガッハハハハハ」
「良いなぁ良いなぁ。僕が先に見つけたかったなぁ」
サントスと呼ばれた男はヴィトリアと違い丸坊主だが流石に双子だけあって容姿・体格はそっくりだ。
しかし、豪快な兄ヴィトリアとは大分性格が違う様だ。
彼も丸っきり同じ格好をしており、見るからに仲が良さそうだ。
「元気だせってサントス。お前には能力があんじゃねぇか。それにお前の為にわざわざ今まで手を出せなかった奴等ぶっ殺して天授十器探してんだからよ」
「そうだったぁ。ありがとヴィトリア。早く見つかると良いなぁ」
「お頭ぁぁぁ」
双子兄弟の会話が遮られたのは突然だった。
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