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~~時を遡ること数時間前~~
クルス達四人はまた飛行機の中にいた。
第Ⅲ隊の二人と荒野で落ち合った後、本格的に古城を目指しているからだ。
現在四人はリビングルームで作戦会議中である。
長方形の木製テーブルを囲み、赤いソファーに腰かけている四人は各々が資料に目を通し、作戦を考えている中、ヴィラから1つの提案が上がった。
「みんな分かってると思うけどあっちの人数は約100人。それに比べて俺らはたった四人。まぁ、ごり押しでいってもいいけど、俺は無駄な体力の消費は避けたいしいし、闇雲に敵陣の中で動いても効率が悪いと思う。皆も゛氣゛の無駄使いはやだろ?
だから俺は分担制が良いと思う」
氣とは簡潔に言うならば能力者が能力を使うために必要なエネルギーである。
つまりこの発言はヴィラは能力者ではないということを示す。
「私も分担制に賛成です」
ヴィラの意見に賛同したのはユウリだった。
そして更に付け足し、こう続ける。
「そこで私からも提案なのですが、双子兄弟をヴィラ隊長とクルス隊長が担当し、私とルーナちゃんで残りの部下達を担当するのはどうでしょう?」
ユウリは先程、乗り換える前に考えていた案を提案した。
「俺も概ね(おおむ)は同意見だ。だけど、部下達の担当はユウリさんだけにお願いしたい。ルーナには別の仕事を頼みたい」
「私……ですか?」
ルーナは予想外の展開にきょとんとした返事を返した。
「ああ、この辺りは見渡す限り荒野一色だ。こんな場所で生活出来ると思うか?出来るわけがない。
つまり……」
「移動用物体の破壊ですね」
おっとりとしたイメージを持たれやすいが、ルーナは意外と勘が鋭い女性だ。
「そうだ。万が一の逃亡に備えてルーナには移動用物体の破壊に務めてもらいたい」
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