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「お呼びだな。さて、行くか」
「ああ」
二人の隊長は隠れ場にしている岩場を去り姿を現す。
風に靡(なび)く髪が二人の顔を覆い、遠くから見ても分かるほど全身真っ黒の制服は、それだけで威圧感のようなものを放っている。
「!
黒の派閥……か。遂に来たな。待ちわびたぜ」
ヴィトリアは相手の正体を知ると、不気味に口の両端がつり上がった笑顔をした。
まるで空腹な肉食動物が餌を待っているみたいに……。
「それに、あの青髪は……」
どうやらヴィトリアはヴィラの事を知っているらしく、確認の為二人に名乗ることを促した。
「おい、お前ら。何処の隊のもんだ?名乗れ」
予想外にも自分達の事を知っていたらしいが、特に驚く事無く二人は名を名乗った。
「第Ⅶ隊隊長クルス・ラザヴォード」
「第Ⅲ隊隊長ヴィラだ。
あんたらは名乗んなくていいぜ。
こっちはあんたらを調べてから来てるからな。ヴィトリア、サントス兄弟」
ヴィラの名を聞いた途端にヴィトリアは小さく笑みを溢す。
――やはりな……間違いない。
ヴィラ。こいつが噂の天授十器を持つ男……か。
噂に聞いた情報とは武器の形状が違うが……まぁいい。
「用件は分かってる。俺の天授十器だろ?
場所を移動しようじゃないか」
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