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―ルーナ―
ルーナは液体から元の姿に戻った。
後方にはパスワード式自動ドアがあるけれど、ルーナにとってそれは意味のないもの。
彼女が今いる場所は先程のレンガ状の古城とはうってかわって、コンクリート状のただ無駄に広い部屋。
――あった。やっぱり地下にあった。
これが双頭狼の移動用物体。
思わず私は固唾を飲んでしまった。
……なんて大きさなの。
ルーナの眼前には黒の派閥の飛行機の何十倍もの大きさを誇る巨大な物体があった。
――早くこれを破壊して皆の手助けをしなきゃ。
ルーナが能力を発動しようとした時、後方から音が聴こえた。
ドアの開く音だ。
反射的にルーナは振り向くと、一人の男が開かれた自動ドアに腕を組みながら寄っ掛かっている。
「誰!?」
「おいおい。誰!?はこっちのセリフだよ。双頭狼に女はいない筈だぜ?
それよりあんた黒の派閥の者だろ?どうやって此処に入れたんだ?」
「……答える義務はないわ。貴方は?」
――この人強い。
ルーナにはサントスのように感知能力があるわけではないが、目の前の人物がかなりやり手なのを第六感が感知した。
「まぁ、いいか。安心しな。俺はクリティバ。敵じゃない」
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