307人が本棚に入れています
本棚に追加
―クルス―
クルスの前方には先程いた人間が全滅しており辺りには動物の死骸も沢山見える。
多勢に無勢という言葉がピッタリだろう。
約100人の人間が300を越える肉食動物に勝てるわけがなかったのだ。
それはそのままユウリの任務成功を意味する。
クルスはユウリのもとへ近づくと声を掛けながら悪魔の羽を戻した。
「殲滅(せんめつ)は成功したようだな」
「はい。つい先程終わりました」
「そうか。……くっ」
サントスにやられた左胸の下がまた痛みだしクルスは苦痛に顔を歪める。
当たり所が悪かったら一発であの世行きだ。
「大丈夫ですか?」
クルスの苦痛に歪んだ顔をユウリは心配そうに見つめるが、クルスはそれを制す。
「大丈夫だ。俺は先に帰ってるから第Ⅲ隊の二人に言っておいてくれ」
「えっ……分かり……ました」
クルスのまさかの提案に驚きながらも了承するユウリ。
彼女に一言告げるとクルスはまた翼を生やし、飛行機のある方向へと飛んでいった
ユウリはただ無言でクルスを見送った。
そして心の中で呟く。
――ホント団体行動が出来ないわね。あのクソガキ。
……と。
最初のコメントを投稿しよう!