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部屋の時計の短針は10時を指していた。
8畳程の部屋には2つの二段ベットがあり、寮という感じだ。
クルスはその内の一つに横たわっている。
上のベットは空いており、もう一つの二段ベットには完敗したブレルトとシカトされた挑戦者が安らかな寝息を立てている。
雨音が無数に屋根に響く中で寝付けないクルスは一人、上の空いたベットを切ない目で見つめていた。
――……あれから3年か。ここは居ずらかったかもしれないけど、一回くらい戻って来いよ。
院長先生も心配してるぞ。
何で黒の派閥なんかに入ったんだよ。
楽しいのか?
楽しくなんかないよな。人殺しなんて……。
なぁ、アイズ。
思案を終え、細めていた藍色の瞳を閉じると更なる漆黒の中に、ウェーブのかかった黒髪の少年の姿が浮かび上がった。
左右対称な容貌は完璧という言葉がピッタリなのだが、黒い瞳にはまるで地獄を体験したように憂いを帯びていた。
――何時か俺もそっちへ行ってやるから。
ちょっと待っててくれ。
ビジョンが消しゴムで消されるように目を開くと、月すらも覆い尽くす雲が雨を降らしていた。
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