金色の銃と青い薙刀

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砕かれた氷はまるで、大粒の霰(あられ)のように地に舞い落ちる。 奪われた視界が戻ると、飛来する大きく鋭利な氷柱が前方に見え、咄嗟(とっさ)に銃口をまた氷柱に合わせた。 「舐めんな小僧!!」 ヴィトリアは怒りを六星銃に乗せ磁光弾を放とうとしている。 それを見たヴィラは瞬時に右へ動き出した。 「俺を誰だとおもってんだ!!六星銃を持つ男、ヴィトリア様だぞ!!」 「……」 怒りを載せた弾丸は大きな氷柱を貫通すると、そのまま何にもぶつからず空中を飛び続けた。 「俺を虚仮(こけ)にすんのもいい加減にしろ!!」 「……」 依然として黙り続けるヴィラ。 その態度にヴィトリアの怒りは頂点に達し右手の六星銃、左手の拳で残りの氷塊を砕く。 陽光を反射する無数のそれらはキラキラと輝き幻想的な空間を作り出した。 そこに待つのは澄み渡る綺麗な青空…… ではなく、自分を囲み襲いかかる小さな氷柱だった。 敵に反撃をする時間や、思考の時間を与えない計算され尽くした連撃は嵐のようだった。
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