派閥からの脱退者

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「アレ……ねぇ。しょうがないっすね。じゃあ、今日はいい子で居よっかなぁ」 アレという言葉を聞いた途端、さっきまで不貞腐(ふてくさ)れていたポルトの表情に笑みが窺える。 ヴィラの瞳にはアイズが、ルーナとユウリの瞳にはポルトがが写ると一陣の乾いた風が吹くと、まるで時計の針が止まったかの様に数秒の静寂が辺りを包み込む。 ――なんだこの悪寒は? 人数ではこっちが勝ってるんだぞ。 それなのになんだ? この四面楚歌みたいな気分は……。 ……こいつは賭けだ。 静寂を破ったのは何の根拠もないが、拭いきれぬ不安を持つヴィラだった。 「ユウリさん。最速の動物を呼んでクルスの元へ飛ばして!!派閥に応援要請を!!」 ヴィラからの頼みにを了承したユウリは地に両掌を着け、ルーナに話を振る。 「分かりました。ルーナちゃん、足止めお願い」 ユウリが口寄せをするまでの時間を稼ぐ為に、ルーナはユウリの前に立つ。 ユウリの足元に緑色の魔方陣が浮かび上がった。
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