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アイズは特に動く気配も無く、艶のある声を発す。
「第二手・氣護壁」
アイズの周囲に現れた薄い膜は氷で出来た鎌を防ぎ、魔方陣から5M近くの巨大な青い龍が唸り声をあげながら姿を現す。
顎から腹部を通り、そして尾まで一貫して白い部分がある典型的な龍だ。
「青龍。あの鳥を仕留めろ」
アイズは左人差し指で後方の天鳥を指差すと、青龍は低く鳴きながら大きな羽を羽ばたかせ、空へ舞い上がる。
羽ばたく風圧で荒野の砂埃(すなぼこり)が舞い、ヴィラ達の髪が無造作に靡(なび)く。
「下がっていろポルト」
アイズは左手を開き上空に向けると、掌からテニスボール位の炎の球体が現れ、まるで、空気を送り込まれた風船のように、どんどんと大きくなる。
それを見たポルトは危険を察し、急いでアイズとは逆方向へ走り出す。
「間に合え~~!!」
ポルトは全速力で逃げ出す。
次第に炎の球体は大きくなるのをやめ、最終的にはバスケットボールぐらいの大きさに変わった。
「第六手・焔熱波(えんねつは)」
球体は幾つものを炎の輪を生み、輪は拡散する。
アイズを中心に、上下左右前後全ての範囲で暴れる無差別攻撃が襲いかかる。
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