派閥からの脱退者

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細い雷はヴィラの右腹部を貫く。 自然と細くなった目で前方を見ると、氷の壁が張られていた直ぐ傍にアイズが仁王立ちしていた。 『隊長!』 ルーナとユウリが今度は揃えて張った声をあげる。 二人はヴィラの怪我に気を取られていると背後に気配を感じた。 「気ぃ緩み過ぎなんだよおめぇらぁ」 反射的に振り返ると、そこにはポルトがルーナの顔に向かって蹴りを放っている瞬間だった。 会心の蹴りはクリーンヒットしたが、言いようの無い違和感がポルトを襲う。 その例えようの違和感の正体に直ぐに気付く事になるのだが…… 「ああん? 水?……! てめえがそうだったのか。 確か第Ⅲ隊副隊長のルーナ……だっけか?」 ポルトはルーナだけではなく、その他の派閥の者についても軽くは知っている。 元第Ⅰ隊副隊長アイズ・ラザヴォード。 4年前、突如当時の隊長二名と共に、黒の派閥を脱退した男。 彼が漏洩した犯人だ。
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