派閥からの脱退者

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「まさか囮にも気付かなかったとは。 それにかつては仲間を守るような事などしなかったのに……」 仁王立ちするアイズはヴィラを見下しながら言った。 囮とは言うまでもなく第六手・焔熱波の事だ。 4年も会っていなかったが、かつては同じ組織に属し、共に任務をやったこともある。 「うるせぇ。こっちも色々とあっ……たんだよ。 それに……お前みたいな天才と……一緒にすんな。……後、――」 相変わらず苦痛に顔を歪めながら途切れ途切れに話すヴィラだが、一呼吸置くと軽く片端の口を吊り上げて笑い、続けた。 「――チームってのはそれぞれの短所を補い、長所を伸ばす為にあるんだ。 二人の防げない攻撃は俺が防ぐ。当たり前の事だ」 決して痛みが和らいだ訳ではない。 むしろ痛みは増すばかりだ。 「変わりましたね。 まさかあんなに尖っていた貴方からそんな言葉が聞けるとは。 ですが、それは今は関係の無い話。天授十器は頂きます」 相変わらず冷静に話すアイズの左手の人差し指の先に電気が迸(ほとばし)る。人差し指はヴィラの心臓に向いている。
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