307人が本棚に入れています
本棚に追加
「まさか囮にも気付かなかったとは。
それにかつては仲間を守るような事などしなかったのに……」
仁王立ちするアイズはヴィラを見下しながら言った。
囮とは言うまでもなく第六手・焔熱波の事だ。
4年も会っていなかったが、かつては同じ組織に属し、共に任務をやったこともある。
「うるせぇ。こっちも色々とあっ……たんだよ。
それに……お前みたいな天才と……一緒にすんな。……後、――」
相変わらず苦痛に顔を歪めながら途切れ途切れに話すヴィラだが、一呼吸置くと軽く片端の口を吊り上げて笑い、続けた。
「――チームってのはそれぞれの短所を補い、長所を伸ばす為にあるんだ。
二人の防げない攻撃は俺が防ぐ。当たり前の事だ」
決して痛みが和らいだ訳ではない。
むしろ痛みは増すばかりだ。
「変わりましたね。
まさかあんなに尖っていた貴方からそんな言葉が聞けるとは。
ですが、それは今は関係の無い話。天授十器は頂きます」
相変わらず冷静に話すアイズの左手の人差し指の先に電気が迸(ほとばし)る。人差し指はヴィラの心臓に向いている。
最初のコメントを投稿しよう!