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静かにアイズが上を見ると巨大な氷塊が落ちてきている。
「第九手・聖王輪(せいおうりん)」
重力により速度を増しながら落下する氷塊と、アイズのちょうど間あたりだろう。
空中に厚さ30cmくらいの円形状の物体が出現し、氷塊の受け皿となる。
「ちっ、相変わらず何でもありだな」
ドゴォォン。と大きな音が響き渡ると氷塊の到る所に亀裂が入り、大小様々な氷が降り注ぐ。
それらは太陽に照らされ反射し、幻想的な空間を造り出した。
――不味いな。まだあの剣を抜かせてもいないのに。
ヴィラの視線の先はアイズの左腰に差してある一本の剣を捉えている。
黒と赤を混ぜたような柄は不気味さを漂わせている。
「そう簡単には……殺られない……ぞ」
震える体に力を込め、ヴィラはゆっくりと立ち上がった。
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