派閥からの脱退者

20/25
前へ
/189ページ
次へ
足はまるで勝手に動いているかのように、個室を出て直ぐの扉に向かう。 ドアの右側に自動の開閉ボタンがあり、勢い良く『開』と書かれたボタンを押すと、強い風切り音が絶え間なく聞こえてきた。 視界の先には綺麗な青空と、鳥と、火を吹く龍。 クルスは両腕を悪魔のそれに変え、背に大きな蝙蝠(こうもり)の様な翼を生やし、臆する事なく飛んだ。 飛行機から飛び立つと、左方向から猛烈な風が吹き付ける。 青龍が接近に気付くと、長い首をこちらへ向け火を吐いてきたが、時既に遅し、と言ったところだろうか、鋭利な爪が片翼を切り落とした。 青龍は大きなうめき声をあげると、片翼では重い体を支えきれず、重力に引き付けられていく。 「待っていろアイズ。必ず殺してやる。」
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加