派閥からの脱退者

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~古城付近~ 「あひゃひゃひゃひゃ。副隊長二匹でこの様かよ。西大陸最強の組織も大した事ねぇなぁ」 嘲笑するポルトの眼前には傷付いた二人の女性と、横たわる大きな白い狼がいた。 白い狼の毛は、所々茶色く変色していた。 二人の女性は痛みに耐えながらも立ち上がる。 「お!まだ立つか。そうこなくちゃ面白くないよなぁ。先ずはてめぇだ。水女ぁ!!」 ポルトはルーナの顔面を蹴り飛ばし、ルーナはまた地に這いつくばり、荒野に吐血する。 ポルトはベルトに備え付けられたナイフを取り出すと、まるで壊れた玩具を見るように冷めた目をした。 「何だよ。能力使わねぇのかよ。つまんねぇなぁ。まっ、俺様の能力の前じゃ意味無いか。 じゃぁ、能力使わないでさっさと死ね」 ポルトが勢い良く走り出す。 ルーナは今まで再三受けたダメージで避けるどころか、まだ立ち上がれてすらいない。 銀色の刃が真昼の太陽に照り付けられ鈍く反射し、ルーナに襲いかかる。 5m… 4m… 3m… 2m… 1m…… そしてナイフはズブッと音を立てて、ルーナの左腹部に突き刺さった。
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