派閥からの脱退者

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「ルーナ」「ルーナちゃん」 荒々しい男の声と、短くはっきりした女の声が一斉に飛び交う 名を呼ばれたルーナの腹部から大量に血が流れ、その体は引力に逆らわずに自分の血で濡れた荒野に倒れ込む 「隙見せすぎですよ」 一瞬の隙だった その僅(わず)かな隙の中で丁寧な言葉遣いの持ち主、アイズの左人差し指から細い雷が放たれる 完全に直撃すると、またもや何とも表現し難い音が奏でられ、ヴィラは表情を更に歪め、右手で左腕を押さえ、荒野に体を預けるかのように倒れ込む 小さな空洞は今度は左腕にあったのだ 「かつては派閥1残酷とまで呼ばれていたのに少し買いかぶり過ぎましたかね」 ゆっくりと一歩一歩歩きながらアイズは語ると、ヴィラの目前に立ち、真下に落ちている混沌の薙刀を拾う アイズからしてみればもう勝負は着いているみたいだ いや、既に着いているも同然だった 拾われた混沌の薙刀は自然とその神々しいオーラを消すと、2つの剣に戻ったが、そんな変化に特にリアクションする事の無いアイズはそのまま片手でヴィラの胸ぐらを掴み持ち上げ、もう片方の手でローブの強引に引き剥がすとブチッと幾つものボタンが外れ外れ、カランッと音を立て荒野に散る アイズはそのままローブの内側の右ポケットに手を突っ込むと、何かに当たる音がした 「やっぱりここか」 手に取りポケットからだすとそれは金色に輝く銃・六星銃だった 用済みとなったヴィラの体から手を放し、再びヴィラは地に這いつくばる 「さようなら。ヴィラさん」
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