派閥からの脱退者

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最初に過ったのはまだヴィラが10代前半の時だ 隣にはヴィラと同じ青髪をミディアムくらいの長さにした少し年上の男がいた 二人とも目にまるで地獄を見たような憎悪を秘めており、会話をしている ――あの時…か。懐かしいな。もう10年くらい前だっけな。あの時は正に絶望だったな。 あいつ今どうしてんのかな? 次は黒いローブを纏(まと)り立ち尽くしていた自分が見えた 眼前には身体中を震えあがらせ、目線の覚束無い男が一人 完全にヴィラに怯えている そしてその男を見下している さっきのビジョンと同じ憎悪を秘めた目で… ――この人!……あの時は酷い事しちゃったな。 いや……この人だけじゃない…か。 ホント昔はどうしようもない野郎だったな。 俺、あの時の罪を償える様な人生送れてたのかな? そして、最後に白髪をオールバックにした老人が見えた 髪だけでなく眉も髭も真っ白だ 目は眠っているのかと勘違いする程に細く、少し垂れている ――先生。最後に記憶じゃなくって直に会いたかったな。 先生は俺の恩人です。 先生のお陰でこんなにも変われました。 すいません。先生。最後まで世話をかけっぱなしの駄目な弟子で。 俺はアイズには勝てませんでした。 後、クルスの事を宜しくお願いします。 あいつを救えるのは先生しかいません。 最後に届く事の無い願い事をすると、自分を殺す相手に、自分を殺す雷に開いた目を向けた
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