君は姫で僕は騎士

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生臭い臭いと、激しい吐き気。 嗚呼、今日も…また…。 ー…をー…のか…。 君は姫で僕は騎士 身体に纏わりつくうざったい血の臭い。 召使いになってから何人もの人間を血祭りに上げた。 それが、王女様の命令だからだ。 王女様…基、僕の唯一無二の肉親で僕の姉、リン。 色々、我が儘を言うけれど、僕に取っては可愛い可愛いおねだりにしか聞こえない。 だから、緑の娘は屋敷からも国からも隣国からも消してあげた。 だってそれが、唯一無二の肉親の願い混じりの我が儘ならば、聞いてあげて当たり前だろ? 今は既に寝入っているだろうリン様の部屋へ音も無しに入った。 顔を覗くと今朝の凛とした姿とは打って変わって、あどけない顔で熟睡していた。 分かっている、リンが本当はリン様を演じていると。 分かっているんだ、リン様は本当はリンになりたいって。 なのに、僕は何にも出来ない。 彼女と共に悪の召使にならないとならない。 否、彼女は召使だけじゃ守れない。 だから、今から騎士になろう。 悪のドレスを脱いだ姫を護るために。 (そう)(決心して)(微笑みながら)(部屋を)(出た) 君は姫で僕は騎士 だって、 それが妥当だから。 end
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