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「うそ・・・」
目を開けばそこに広がっていたのは悪夢のような惨状だった。
倒壊した建物、辺りに散らばるその残骸。
以前の様な綺麗に整えられ、調和のとれていた街並みの面影は最早無い。
そしてその中でも最も目をひくのが、地に伏せるようにして転がっている人々。
彼らの体は存在の終焉を示す様に真っ赤に染まっている。
その風景を呆然と眺めていた少女を我に還らせたのは、弱々しい呻き声であった。
ハッと気づいた少女が声の聞こえた方へと目をやると、そこにはこちらへと手を伸ばす一人の男の姿が。
「ッツ!! 大丈夫ですか!!」
すぐに駆け寄って抱き起こす。
その男は少女もよく知る者であった。
「ベルおじさん!!」
「その声は、ミリアかい・・・。そうか、お前は無事だったんだね。良かった。」
「何があったの おじさん!!わたし、森に薬草を取りに行ってたの!!そしたら街の方から煙が上がるのが見えて・・・走って帰ってきたの!!そしたら・・・そしたら・・・!!」
「静かに。大丈夫だ、落ち着きなさい。
さぁ私のことはいいから早く逃げなさい。早く逃げなければ"奴ら"に見つかってしまう・・・」
「"奴ら"?なんのこと!?それよりおじさんを置いてなんて行けるわけないじゃない!!」
「いいから早く逃げなさい!!村から出て真っすぐ行けばフェルムと言う街がある。そこにいるラッドという商人に助けを求めなさい。そうすれば「グシャッ」
鈍く重い音が響いた。
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