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"ソレ"の異様は際だっていた。
まず最も目を引くのが、三mはあろうかというその巨躯。
その巨躯に不釣り合いな程に小さい頭。その頂点からは二つの角が生えている。
そしてまさしく丸太の様な手足。その巨腕からは真っ赤な血が地面に滴っている。
目の前の異形の者がおじさんを殺したと少女が理解するまでの間、約10秒。
その間も"ソレ"は少女へと近づいていく。
我に返った少女が逃げだそうとするがもう遅く、"ソレ"は少女の眼前まで迫っていた。
「ひっ! きゃぁぁぁぁ!!」
"ソレ"は少女の細腕をつかむといとも簡単に持ち上げ、ぶら下げた。
少女の顔が苦悶に染まる。万力の様な力で締め付けられているため、身動きすることすらできない。
"ソレ"は少女を持ち上げている左腕とは反対の、右腕を思い切り振りかぶる。
最後を悟った少女が目をつぶり、一言呟いた・・・。
「兄さん・・・。」
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