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その影は少女が待ち望んでいた者・・・
では無かった。
「ひっ!!」
思わず少女は後ずさる。
やや短めに切り揃えられ、所々跳ねている髪の色は黒。
そして自らの髪に合わせるように、漆黒の衣服に身を包んだ男の首からは、場違いな程に輝く銀色の首飾りが。
全身を黒で彩った男の身体には、先ほど殺した化け物の血だけでは到底足りない量の血がこびりついている。
まさに地獄から這い上がって来た、悪鬼妖魔の類かと思うほど、その男は酷い姿をしていた。
そんな中にあって少女を強く引き付けたのは、その瞳。
深く澄み渡った空色の瞳は、全てを見透かすかの様な色を湛えている。
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