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近くで見ると男は以外にも整った容姿をしていた。
真っすぐに通った鼻筋。
形の良い眉。
切れ長の目が周りに冷たい印象を与えてしまうかもしれないが、それを含めても男の顔つきは美しいと言えるだろう。
もっともそれは男が真っ赤な血で、見るも無惨に汚れていなければの話だが。
「一人か?」
少女は答えなかった。
当然だろう。いくら助けてくれたとはいえ、目の前の男も、先程の化け物も少女にとっては、得体の知れないモノには変わりないのだから。
男は少し困った様に頭を掻きながら、ぎこちない笑みを浮かべて少女へと手を伸ばした。
「すまない、怖がらせてしまったみたいだな。俺の名はルーク・スパイラル。君の名前は?」
少し迷った後
「・・・ミリア。」
ミリアはおずおずと自分の名前を口にした。
「そうか。じゃあミリア、歩けるか?ここから逃げなきゃいけない。」
「でも・・・村の皆が!!!
助けなくちゃ!!」
「分かってる。それは俺が何とかする。だからミリア、お前はここから逃げるんだ。」
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