闇夜に紛れて

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遠くの尾根で何か光ったのが上等兵の目に映る。 「少尉!」と上等兵が叫ぶが、時既に遅かった。少尉はそのまま力無く倒れた。 上等兵は振り返り、「敵襲!」と叫ぼうとした。 しかしその刹那、首に激痛を感じ血が吹き出した。 上等兵は倒れ込んだ。最期に見た光景は、ナイフを仕舞う全身を草で覆った襲撃者と、事切れた少尉の姿だった。 薄れゆく意識の中、上等兵は今まで親孝行できなかった事を恥じていた。
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