序章 少年と親友と超能力

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 小学校低学年のの頃だったた思う。  人の死、という物に初めて直面した。    その日の放課後、町の中心にある大きな公園でクラスの男子のほとんどを集めて野球をした。    その帰り道。家が近所の親友とつい最近出たテレビゲーム、それをどうやって買ってもらうかとアニメの影響でもうけたのか、生意気にも思える口調で話しながら歩いていた。    夕方で、日の当たるところすべてがオレンジ色に染まっていたその時間。  少年の数メートル先を歩いていた親友が振り向き言う。 「家に帰るまで影以外のとこ歩いてだめだからな!競争だぞ!」  よく小さな子供に出で来る遊びの発想だった。 「おう!」  少年はそれに返事をするとその親友について行くようにして建物や電柱で陰になっている部分を踏みながら歩道を進む。  一○分とたっただろうか。  少年も、その親友も、日に照らされているところは一切踏まず、家まであと四、五分の所まで来た。  ここで前をとられると、もう追い越すのは難しい。  そして目の前、歩道約三メートルの範囲に陰が見当たらない。  二人でその三メートルの手前、陰の中で足を止め固まっていた。そして親友の方が先に陰を見つけ、走り出す。「ここだー!」  ふざけた口調でそう言いながら、縁石で陰になった場所を道路に背を預けるようにして進む。 「おいっ、待てよっ」  そう言いながら同じように縁石の陰に入ろうと歩道の建物の方のはじから道路側のはじまで走り出す。  ちょうどその時だった。  道路を大量の砂利を積んだ大型のトラックが通り過ぎる。 「うおっとっとっ」  親友は一度バランスを崩しかけ、なんとか立て直そうとする。  斜め上。道端に落ちているくらいの大きさの石が親友の背中にぶつかる。  さっきのトラックの中の一つがはじかれでもしたのだろう。  それが当たった場所を抑えようと親友は体をねじるようにして両手をその場所に当てる。  しかし、それと同時に体制を崩した親友の体は道路に大きく押し出された。  二つの鈍い音が響く。  親友はその時ちょうどそこを走っていたバスにぶつかっていた。  親友の体はバスにはねられ宙を舞う。そして道路上に寝るように放り出され、転がる。  しかし、バスは止まらない。  親友の腕からバスの前輪に巻き込まれていき、一瞬にしてまだ小学校低学年の体はそのすべてをタイヤに巻き込まれた。
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