序章 少年と親友と超能力

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 その時、その親友が何かを言ったような気がする。しかし今になっては、それさえも少年は聞き取ることは出来ない。  そしてバスは道路に赤いタイヤ痕と体の一部を吐き捨てながら、一○メートル先でやっと、止まる。  ざわざわと周りで人が騒ぎ始めていた。  そして少年はその血痕の残る道路の上、一番近くの親友の一部。親友の右腕から先をただ、見つめていた。  今から半月くらい前。ちょうどニュースでも国内でのテロ問題が騒がれ始めていた。  そのテロ組織は日本の政治がおかしいと言ってテロを起こしているらしいが、ニュースでは詳しいことは言わないし、調べてみても、はっきりとした納得できる答えは見つからない。  五月二○日。午後六時過ぎ。東北の田舎のとある町立高校。  学園祭を後日に控えたその学校は、まだほとんどの部屋に明かりがついている。  少年は振り返りそれを確認すると校舎とは逆の方、校門の方へ歩き出す。  一分としないうちに校門を出る。その瞬間、右側から『襲われる』 「けーいー!」  女の声。それと同時にその声の主が少年、Kに抱きつく。  その抱きついてきたのはKの四つ年上の女性。  見た目の年齢は一五、六歳くらいで、背丈はKよりも一〇センチほど下。  Kの目のあたりにちょうど頭のてっぺんが来る高さだ。  髪の毛は肩に届くくらいで、そこから覘く顔立ちは体も含めて幼く見えるが、しっかりと整っている。  そして、勢い良く抱きつかれたKはそれを支える事ができずに、そのまま押し倒され、Kだけが体全体を強く打つ。 「がっ!」  そんな声が出た。支えもなしに八割増しの体重で正面から地面にぶつかれば、当たり前と言っていい反応だ。 「けーいー、ちゃんと受け止めてよー」  体を起こしながら機嫌を悪くしたような口ぶりで言う。 「いや、受け止めろなんて無理」  そう言った瞬間ドン。と背中になにかが乗ったような感触と、その音が体内に響く。 「てっ」 「言い訳しなーい。彼女の言うことは聞かなきゃだめなんだよー」  自分を肩越しに見るKから目線をそらし、その女性。玲(れい)は言う。 「はいはい。でさ」  何かを切り出そうとする。  それに対して玲は立ち上がり、頭を下げてKの顔を覗き込むようにして言う。 「なーに?」 「いや、何でもない」
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