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出逢いは偶然に
「行ってきまーす。」
履きなれた革靴に足を入れ、元気よく玄関を出る。暖かい春風が、制服の赤いリボンを、「行ってらっしゃい。」とでも言うようにヒラヒラと揺らした。
「春風が私を応援してくれてるのかな?もう新米女子高生だもんね…そろそろクラスになれなきゃだよね。」
仲良く、お喋りしながら歩くクラスの子が隣を通り過ぎて行った。それだけで少女の胸はギュっと締め付けるのだ。
「今日も頑張ろう。」
その声は、あまりにもか弱く、あまりにも切なかった。
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