出逢いは偶然に

1/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ

出逢いは偶然に

「行ってきまーす。」 履きなれた革靴に足を入れ、元気よく玄関を出る。暖かい春風が、制服の赤いリボンを、「行ってらっしゃい。」とでも言うようにヒラヒラと揺らした。 「春風が私を応援してくれてるのかな?もう新米女子高生だもんね…そろそろクラスになれなきゃだよね。」 仲良く、お喋りしながら歩くクラスの子が隣を通り過ぎて行った。それだけで少女の胸はギュっと締め付けるのだ。 「今日も頑張ろう。」 その声は、あまりにもか弱く、あまりにも切なかった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!