序章

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「……あ」 「ん?どーした、如月?」 高二になった、春のある日。 いつも通り、友達の谷川 春樹(タニカワ ハルキ)や倉馬 爽平(クラマ ソウヘイ)と一緒に下校していた途中、僕は道端のゴミ捨て場に向日葵の描かれた絵が捨てられているのを見つけて何となく立ち止まった。 僕が急に止まったので、二人も足を止める。 倉馬が首を傾げて訊いてきた。 「どしたの?何か見つけた?」 「え?あぁいや、これ」 ハッと我に返って、右手の人差し指で絵を指差した。 二人が近づいてきて、ゴミ捨て場を覗き込む。 「……何だっけー、これ?どっかで見た事あんなー」 「あれだろ、ゴッホの『ひまわり』。模写だろうけど」 「あ、そーそー、それそれ」 眉を歪めた春川に対して倉馬が正確に言い、春川も思い出したようにポンと手を叩いた。
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