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そんな二人のやり取りを聞きながら、再び向日葵の絵に目を向ける。
本物と同じく油絵であろうそれは、じっと見ていると、まるで何輪もの向日葵がゴミ捨て場に根を張って咲いているように感じられた。
(私は……これで、良かったのよ……)
「……」
そのまま絵を眺めていたら、不意に何処からか、忘れる事の無い声が聞こえた気がした。
わずかに目を細める。
……そういえば、君は向日葵の花が好きだったな……。
「……で?如月、これがどーかした?」
そうしていると、谷川が少し経ってから絵の方を顎でしゃくって尋ねてきた。
言われ、谷川をチラリと横目で見てから向日葵の絵に最後にもう一度視線を戻し、僕は立ち上がって二人の方に向き直って笑顔を作って言った。
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