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やはりというべきか、それは必然にして起こるべきもので、怒鳴り散らす父の広がった鼻の穴を見ても僕の心は実に軽やかだった。混乱している両親を優しく宥め、賺して説き伏せる。あれほど壮大なものであったその怒りは彼らの中で次第に哀しみへと様変わりしていったようで、母のその濁りきった双眸は溢れんばかりの洪水に洗い流され、普段厳格な父すらも今にも叫び出しそうないでたちだった。一瞬静かな怒りが僕の耳に届くと、父は呆れたようにある方向を指さした。僕は深く頭を下げ、誠意をもって謝罪する。いくら両親の怒りが治まったからといって、僕の悪行がすべて赦されたわけではないのだ。
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僕は自分の部屋にある平均より少し大きめのベッドに寝そべっていた。寝そべっていた。僕はかれこれ三時間ほど、ずっとこの状態を保ち続けている。俗に言う、外出禁止というやつである。
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