一章

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 帰路の途中、僕はこれからの事について考えた。それは家に着いたらの恐ろしく身近な事から始まり、公園で出会ったクラスメートの彼女の事から広がり、最後には僕の人生論にて終わりを迎えた。問題は、その終わり方がまさに最悪と言ってもいいほど、後味の悪いものであったという事。つまり、僕はその時気づいたのだ。このような思考をいくら頭の中ではじきあわせようと、これからの結果に僕はまったく干渉できないということに。  それから、僕は考えることを放棄した。ただ家に向かって前進するのみに徹した。そうするとなんだか重荷がとれたように、僕の心は暖かくなっていった。僕はその時あることに気がついた。とても大事な事に気づいたのだ。ああ、そうだったのか。外の世界にどれほど問題を探そうとも、僕だけの世界にどれほど楽しみを見つけようとも、僕が満たされなかったのは、そして僕が汚されなかったのは、そもそもその行為自体に原因があるからだったのだ。僕は蒼天に晒されたタバコ屋の門前にて、我が人生最大の疑問を解決した。   *
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