序章 これが俺の始まり方

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ザァー ザァー 降りしきる雨。天気予報では降水確率80%って言ってた。 濡れて帰ったら風邪をひくだろう。 傘をさして歩いている人達が見えた。中には傘を忘れてダッシュで家に帰る小学生もいた。 でも俺は大丈夫。橋の下で雨宿りをしている。早く雨がやまないかずっと待っていた。 でも雨がやんでも意味がないと思う。 だって帰る場所がないから… まだ二歳の俺。段ボールの中に入り体育座りをして体をうずくめていた。夏…いや秋に近い夏。雨が降ったせいで下から熱気がきてさらに熱くなった。 熱い… なんでこんなことになったのだろう… 全ては俺の両親が悪い。 車でこの橋の下にきて俺を段ボールの中に入た。まるで捨て犬のように捨てていった。 顔はよく覚えていない… けど最後の言葉だけははっきりと覚えている。 「バイバイ。」
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