本番

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「あ、誠、起きたんだ」 暗い部屋に光が射す。 誰かがこの部屋の扉を開いたんだ。 「優……?」 「おはよう。って言っても、今10時だけど」 そこには、笑顔の優。 それと…… 「お前……な…何して……」 桜がいる。 だけど桜は、桜は気を失っているらしくぐったりしていて、その桜の髪を優は鷲掴みしていた。 「ん、もぅ……【これ】重い……」 よいしょ、よいしょと聞こえそうな引っ張りかたで桜の髪を両手で掴み、引っ張り運ぶ。 そんな扱いをされる桜を見て、俺は怒りが湧き出る。 当たり前だ。大切な彼女がそんな扱いをされていたら、誰だって怒る。 「お前……なにしてんだよ!?」 叫ぶ。 その叫びに、優がビクッと肩を震わす。 「な、なにいきなり叫ぶのよ……びっくりするじゃない……」 「なにって……お前、自分がなにしてるのか分かってるのか!?」 怒りの限り、叫ぶ。 「うっさいなぁ……」 「うるさいって……お前……!!」 優が投げ捨てるかのように、桜を離す。 桜は気を失っているから、頭から床に落ちた。 「桜!! 桜ぁ!!」 「そんなに【これ】が大事?」 優がまるで、ゴミクズを見るような目で桜を見下ろす。 その表情が、とても人に思えない何かに見える。 優はその倒れた桜を仰向けにして、いわゆるマウントポディションに乗った。
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