本番

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笑う優。 なにがおかしいのか、なにが楽しくて仕方ないのか、俺には分からない。 ただ、さっきまで大切な存在だった人が、もう亡き人になった事が、理解出来ずにいた。 「あ~~~……最高!!いいざまだわぁ!」 ザシュ。ザシュ。 優は何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、桜を刺す。 その顔は終始笑っていて、俺はただその状況を呆然と見ているだけしか出来なかった。 「さ……くら?」 喉から声が漏れる。 今日、一緒にいた笑顔の桜。 昨日の桜。 一昨日の桜。 今まで一緒に居た桜の事が、頭に浮かぶ。 そして、今目の前に居る桜に目を向ける。 何度も何度も刺された顔は、もう原形を失っていて肉塊になっている。 ぐじゃぐじゃになった脳みそがこぼれ落ち、眼球が何かの拍子で少し離れたところにあり、血が辺りを色飾っている。 その桜を見た瞬間、やっと今の状況に頭が追いついた。 「うっ……」 吐き気がしたが、無理矢理押し戻す。 あれが……人間? あんなに綺麗な桜が、あんなのになるものなのか? そして、それを見て笑っている優は、本当に人間なのか?
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