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「ねぇ見て誠ぉ! コイツ、もう死んでるのに、刺すたびにびくびく動いてるぅ! 気持ち悪いわぁ!! あはははははははははははははははははははははは!!」
「……止めろよ……」
もう見ていられなくなって、言葉が口から漏れる。
しかし、優は止まらない。
「もう……もう止めてくれっ!!」
叫んだ瞬間、優が止まる。
俯いて顔は見えないけど、手は確かに止まった。
「もう……これ以上、桜を辱めないでくれ……お願いだ……」
震える声。
もう、こんな桜は見たくない。
大好きな桜のこんな姿を、もう見たくない。
「ダメだよ誠……」
小さな声が耳に入る。
「誠はこの女に騙されてるんだよ? だから、私が仕返ししてあげてるの……だから、もっとやらなきゃ……」
そう言うと、再び手が上がる。
「もう止めろって言ってんだろ!!」
涙が溢れてくる。
桜が死んだと言う事実と、その桜の姿を見ていて、自然と涙が出て来る。
「お願いだから……もう……止めてくれ……」
「もう……誠じゃないんだ……」
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