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校長先生の話。
それはどこの学校でもあるもので、喋ってる本人以外には、恐らく退屈であると思われる時間。もしかしたら本人も退屈してたりして。
勿論僕は、早く終われとしか思っていない。
「君たちはこれから三年間――」
その台詞、既に四回目。
「一緒に頑張りましょう」
そういい終わると校長先生は後ろへ一歩下がる。
それが合図だったのだろう、舞台の横でマイクを構える教師の号令で、体育館内の全生徒を立たせ、礼をさせる。
これで、一つお終い。
あとはまあ校歌とか歌うだけ。
そんな感じで流れていく入学式。
「らいくん、この後って何するんだっけ?」
校歌を歌い終わった後、隣に座る僕の幼馴染は、周りの迷惑にならないよう、こそりと耳打ちする。
この後か、何だったかな。たしか黒板に今日の流れが書いてあったはず。
思い出せ、僕。そう、えーっと。
「部活動見学だな」
数秒の思考の結果、分かったことを千穂ちゃんに伝える。
「うそー、まだ入学したてなのに?」
確かに、ちょっと早いな。しかも登録も今日だったような気がするぞ。
「それだけ熱心なんじゃない?」
返事になってない返事。
「返事になってないよ!」
そう耳打ちをすると、千穂ちゃんは前を向き、学年の担当紹介に注目した。
いつの間にそんなに進んでいたんだろう。
流れるような入学式だ。
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