六分の一

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「さて、これから部活動見学となります。 これが終わると早速登録となりますので、よく考えるように。 では、着いてきてください。まずは運動部からです」  一年三組の生徒を集め、そういう二岡先生。  まずは運動部からか。  運動部っていうと代表的なのは野球やサッカーだよな、やっぱり。  まあこの二つは僕には入れないな。だって運動とかそんなに得意じゃないし。  そりゃまあ、人並みには出来るけど。小さな頃からやってきた人より巧くなるなんて、僕程度の運動神経じゃまず無理だ。  それに。 「らいくん、運動部はダメだよ。ほとんどが男女別だもん」  って千穂ちゃんが言ってきたし。  そこまで一緒に拘らなくても良いと思うんだけどなぁ。 「千穂ちゃんは入りたい部活とかないの?」 「らいくんが入る部活に入りたいかな」  駄目だこの幼馴染、考えることを放棄してやがる。  うーん、入りたい部活っていってもなぁ……。 「いっそのこと入らないっていうのは」 「ここ無所属禁止なんだよ? 知ってるよね、らいくん」 「……知ってるけど忘れてた」  そうだった、全校生徒強制入部。喩え運動部員が怪我などで運動できなくなっても文化部へ。  この学校はそういう学校だったな。  全くもって恐ろしい。そう思いながら僕達は、生徒の流れに乗って、次々と部活動を見学していった。
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