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「まあ、まだ七時前だしな」
ちなみに入学式が始まるのは八時三十分。
家から徒歩で行っても三十分しかかからないというのに、何を思ったのか隣の幼馴染は六時四十五分に迎えにきやがった。
「そだねー、ちょっとコンビニでも寄ろっか」
「何か買うの?」
「いや、立ち読みして暇でも潰そっかなーって」
「じゃあ何でこんな早くに家出たんだよっ!」
馬鹿か!
僕の幼馴染はどうしようもないのか!
「たまには早朝のお散歩もいいかなって」
そういって千穂ちゃんは照れ笑いをする。
いや、誤魔化せてねぇし。何に照れてるんだよ。しかもお散歩なら別に通学路じゃなくていいじゃん。
はぁー、っと溜息。また幸せが逃げちゃったかな。
「それはそうと、らいくん。
部活は何に入るのかな?」
その強引さ、なかなかどうして嫌いじゃないぜ。
好きでもないけど。
「まだ決めてない」
「だろうね」
ニシシ、と口元に手を当て笑う千穂ちゃん。
どんな答えが返ってくるか分かってて聞くなんて、本当に意地が悪いな、と思った。
「そう言う千穂ちゃんは決めたの?」
「らいくんと同じ部活!」
そういってピースサインを僕に向ける千穂ちゃん。それを見て怪しく微笑む僕。
返ってくる答えを知ってて聞くなんて本当に、意地が悪い。
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