六分の一

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 晴天高校。  一クラス四十人、各学年六クラス。  部活の数は三十一。  僕達はこの学校でこれから三年間を高校生として過ごす。  正直なところ、数分前の自分には悪いけれど、やっぱりワクワクする。 「すごい大きいね!」  千穂ちゃんは門の前で立ち止まると、その先に見える時計塔を眺めながらそう言った。  ていうか本当に大きい。ハリ○タのホ○ワーツといい勝負なんじゃないだろうか。  実物見たこと無いからわからないけれど。 「さ、まずはクラス分けを見に行こっか」 「そうだな」  千穂ちゃんの案に賛同し、僕達は二人同時に敷地内へと入る。  にしても、クラス分けってあんまり興味ないんだよな。  この学校にいる知り合いは千穂ちゃんしかいない訳だし。  千穂ちゃんとは……、まあ今年も同じクラスにはならないだろうし。  ちなみに千穂ちゃんと最後に同じクラスになったのは、確か小二の時だったような気がする。  ――さて。  僕たち二人は恐らくクラスが発表された紙が張ってあると思われる場所に辿り着いたわけだが。 「人が多い……」 「だねー」  流石の千穂ちゃんでも苦笑い。  これはレアだ。名前も知らない同級生達に感謝。 「ちょっと私見てくるよ」 「頼んだ」 「頼まれたっ!」  そう言うと千穂ちゃんは人混みに向かって駆けていった。  しかし、この学校は本当に広いな……。  こりゃ入学して一ヶ月ぐらいは校内で迷子になるな。  僕は漠然とそう思った。  勿論、僕じゃなくて千穂ちゃんが――だけど。
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